モーニング・ジョイ / Steve Lacy  



  デビューからカルテットで演奏することが多いスティーヴ・レイシー、本作は1970年代前半から共演を積み重ねているスティーヴ・ポッツとの2管カルテット。レイシー、ポッツ両者の絡み合いもよく、各自個性のよく出た演奏。パリのサンセットでのこのライヴは、セロニアス・モンクにこだわり続けるレイシーがここでもモンク2曲とオリジナル4曲という構成になっています。

1曲目〈エピストロフィー〉は、奇妙なメロディーで始まるモンクの名曲。アルト・サックスのポッツは熱く鋭く歌う覇気に満ち溢れたプレイ、レイシーのゆったりとした気持ちのいい歌いっぷり、続くベースのジャン・ジャック・アヴネルは小気味よく濃厚なプレイが存分に発揮している。



2曲目〈プロスペクタス〉、威勢のいいテーマから、急テンポで駆け抜けるように曲が進んでいき、軽快なポッツと滑らかでまろやかなレイシーの息の合った演奏。ポッツは淀みなくアルト・サックスのブロウで畳みかけ、エネルギッシュなプレイ、レイシーは快速テンポの中、豊かな響きをもって、自由自在に吹きまくっている。
youtube.com/watch?v=N3E-jtzLuu8

3曲目〈ウイケッツ〉、スロー・テンポのしっとりとした雰囲気で、ポッツは抑え気味だったアルト・サックスを存分に鳴らしきり、力強く響きわたるプレイ。レイシーはなんとなくのんびりとした中、悠々とアドリブを聴かせる。そして、ベースのアヴネルは軽やかに途中アルコを入れるなど低音の豊かな響きで駆け抜けていくプレイが展開される。

4曲目タイトル曲〈モーニング・ジョイ〉、愉快なメロディーで始まり、ポッツはここではソプラノ・サックスで、激しくスリリングな疾走感溢れるプレイ。レイシーは時に速いフレーズを交えながら緩急自在に、切れ味よく歌い上げる。続くドラムのオリヴァー・ジョンソンは心地良くスウィングしています。
youtube.com/watch?v=50lqvdSBhUU

5曲目〈イン・ウォークト・バド〉は、モンクの個性の強いメロディー。アルト・サックスのポッツはフリーなリズムに乗って、アグレッシブに吹きまくる。レイシーは流れるようなソプラノ・サックスの伸びやかなソロを聴かせる。アヴネルはテンポよく魅力ある低音を聴かせ、続くはレイシー、ポッツとドラムのジョンソンとの掛け合い演奏となります。



6曲目〈アズ・ユージュアル〉、ユーモアのあるテーマのあと、アルト・サックスのポッツは高音のキーキー音を発しながら、起伏の富んだ何と凄みのあるソロ、レイシーは歯切れよく、軽妙な吹きっぷりがいい感じで申し分ないプレイ、続くアヴネルは伸び伸びと重厚なベース・プレイをしています。
youtube.com/watch?v=wgHAjRFbho

モーニング・ジョイの商品詳細ページ

 
   

 Recorded. February 19, 1986. Hat Hut. 

 Steve Lacy soprano sax
 Steve Potts 
alto sax, soprano sax
 Jean-Jacques Avenel 
bass
 Oliver Johnson 
drums

 1. Epistrophy 9:19
 2. Prospectus 7:43
 3. Wickets 16:10
 4. Morning Joy 10:24
 5. In Walked Bud 11:40
 6. As Usual 13:11